育毛成分の ナノ化 はもはや当たり前の技術になりつつありますが、今回近畿大が発表したのはなんと医薬品である「ミノキシジル」のナノ化 という技術です。日経新聞でも取り上げられ注目を集めています。
発毛成分のミノキシジルを200ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどの微粒子にして水に混ざりやすくすることで、毛根により多くの成分が浸透して効果が高まる。成分の濃度も市販品よりも高められるという。
出典元:日本経済新聞
これまで、ミノキシジルは内服薬が正義で、外用は大したことないという風潮がありましたが、この研究によってミノキシジル外用薬でも内服と同じくらいに効果を出すことが可能になるかもしれません!?
そもそもナノ化ってなに?
ナノ化 やナノテクノロジーって医療技術として聞くことがあります。
なんとなく成分や原料を小さくするんだろうなぁというのはイメージできますが、いったいどの程度小さくするのかとか、それが身体にどのように作用するのかよくわかりませんよね。
そこでナノ化がどういうものかをまとめてみたいと思います!
ナノは単位
そもそも「ナノ」は数字の単位の事で国際単位系にて1960年に制定されました。
分かり易く数字に表すと0.000 000 001 メートルとなります。
いや、ゼロが多すぎて何が何だか…。
1メートルの十億分の一です!
マイクロより小さくてピコよりは大きい、そんな数字です。
ヒトの細胞の大きさが平均して直径20マイクロメートルほどだと考えると、細胞よりもかなり小さい微粒子なんだなぁということがお分かり頂けるかと思います。
小さくなることで身体に浸透しやすくなる
化粧品の分野ではよく使われるナノ化の技術。特に肌の内部に浸透するようにスキンケア商品によく使われる技術です。
ナノ化されやすい成分としては
ヒアルロン酸
コラーゲン
コンドロイチン
などが有名ですね。
ナノ化された成分はより地肌の奥に浸透しやすくなり、内側からのケアが可能となるのです。
育毛剤も同じことが言えます。
もちろん頭皮も地肌ですから、ナノ化で成分が毛根の奥にまで浸透することによって、よりダイレクトに吸収されるという塩梅なんですね!
リジュンやベルタなどの女性育毛剤が多くの成分をナノ化しています。
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浸透しすぎることがデメリットになる場合も?
そんないいこと尽くめのナノ化ですが、実は粒子が小さくなるからこその弊害もあるそうです。
浸透しやすくなるということはより体内に取り込まれやすくなるということ。
今までは安全だと思われていた成分が、ナノ化されることによって身体に悪影響を及ぼす可能性もあるということで、一概にナノ化をしてしまえば良いというわけではなさそうです。
ミノキシジルを ナノ化 する技術
今回ナノ化に成功した育毛医薬成分ミノキシジル、薄毛で悩む方であればどなたでも一度はその名前を聞いたことがあるはずです。
国内ではリアップなどの第一類医薬品などに外用薬として配合されている事でも有名ですよね。
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今回、近畿大の長井紀章准教授らが開発した新技術では、ナノ化の懸念材料である地肌に浸透されやすいという問題を解決しています。
従来のナノ化で使われるアルコールを使用する方法では、ミノキシジルは皮膚に浸透してしまい、アルコール分が皮脂を出す皮脂腺に吸収されやすくなってしまうため、毛根に届きにくく、逆にミノキシジルが不必要な場所に行きわたってしまうという問題がありました。
近畿大の開発した技術は、ミノキシジルを破砕し微粒子にしたのちに、オリゴ糖の一種であるシクロデキストリンを混ぜるというものです。
こうすることで通常の水でも均一に成分を分散・攪拌させることが可能となり、毛根にダイレクトに届くナノ化されたミノキシジルが完成するというプロセスです。
話を聞くだけだと簡単に感じますが、実際にこの方法を導き出すのにはかなりの努力を要したことは想像に難くありません。
今後はリアップ等に配合される?
現時点ではまだ人体での実験までは至っておりません。
マウスを使用した試験で一般のミノキシジルでの発毛に11日間かかったのに対して、ナノ化したミノキシジルでは9日で発毛に至る結果が出たという事です。
まだ動物試験の段階なので人に転用されるまではかなり時間がかかる見込みですが、これが実用化されれば同じリアップでもより短時間で効果が出た!なんてこともありそうですね。
続報に期待したいと思います!