前回まで⇒【連載三回目】 カードキャプター さくら 20周年でドライヤーも発売!!今 さくら ちゃんが熱い!
皆さま!!!!
「なかよし7月号」は買いましたか!?!
ほんっとに素晴らしかったですよ!
↑↑ なかよし7月号を読んだ時の私の反応
前作のコミックス、「 さくら カード編」のラストからしっかりと繋げてくださっているだけで、ファンにとっては素晴らしいギフトですね!
クリアカード編という事でどうなるか想像もつきませんが、予想以上にちゃんと連載になりそうで生きる希望をもらった気がします。
個人的には前作より絵が更に可愛くなってませんか?!というレベルの作画力に感動しました。
デザインは前作を踏襲しつつ、主線はやや太くハッキリと、キャラクターの顔の造形は全体的に丸みを帯び見やすくなっています。あと中学の制服が可愛すぎて…
小さなデフォルメ顔一つとっても全くアレ?っていうのが見当たらないんですよね。なんであんなに可愛い絵が描けるのでしょうか…。
これはアニメ化にも期待せざるを得ません!
それでは今週も引き続きさくらワールドの魅力を解説していきたいと思いますので、よろしくお願いします٩(๑′∀ ‵๑)۶♪
ちなみに今回は作品制作を中心とした結構マニアックな話になるかと思いますが、どうかお許しくださいね…
魅力3. さくら の世界を支えるハイクオリティな制作陣
この記録は制作方法が簡略化されている現在、そして今後もファイナルファンタジーみたいなフルCGアニメでも作らない限り恐らく越えることはないでしょう。
更に他の民放とは桁違いの制作予算を出すといわれるNHKでの最高予算と言うのは、実質全TV放映アニメーション中トップの可能性すらあります。(もちろん話数換算した場合の話です。)
潤沢な予算を掛けて制作されただけあり、全70話+劇場版2作品通して演出や脚本、作画、音響、美術に至るまで妥協は一切ありません。
例えば、連載第一回目でもお話したように、CCさくらでは毎回カード封印時のバトルコスチュームが変わりますが
これは変身バンクシーン(魔法少女物などで衣装が切り替わったりする、毎回使われるシーンのこと)が使えないことを意味します。
全ての衣装で描き直し、セルですので当然一枚一枚、アニメカラーという塗料を使って手作業にて彩色を行います。 今のようにデジタル上でバケツ彩色できないので大変です。
さらにこれら全ての衣装に対してのデザイン設定、色彩設定が必要になります。 それを毎回噛み砕き自分の絵に落とし込む原画マンや、絵柄統一させる作画監督はかなり神経をすり減らすことでしょう。
これをさらっと毎週放映のTVアニメでやってのけたことが恐ろしいです。
これはほんの一例で、演出や撮影、コンテや音響にまで尋常でないほどのこだわりが見つけられます。
そうそう、「第1話 さくらと不思議な魔法の本」がその辺り非常に解りやすいのでこの話を例に挙げて解説したいと思います。
第1話 「さくらと不思議な魔法の本」にみる制作の本気
第1話は視聴者の心を確実に掴まなければなりませんので、ある意味ではどのエピソードより大切です。
即ち、世界観を解りやすく伝え興味を持たせ、さらに来週も観ようという気にさせなければなりません。
1話では原作者であるCLAMPの大川七瀬氏が脚本を書き、監督の浅香守生氏がコンテ・演出を切っています。元々演出家であった浅香氏が監督をされているので、全編通して演出に関しては折り紙つきです。
漫画版では既にさくらちゃんがカードキャプターとしての魔法の契約をしているところから物語が始まりますが、 この部分を、まだ魔法の「ま」の字も知らない普通の小学校4年生としてスタートさせるよう改変したのが上手いです。
何故なら、これにより視聴者がさくらちゃんと同じ目線で物語を追っていけるので感情移入しやすくなるからです。 特にさくらちゃんと同世代のおんなの子にしっかりと配慮した構成ですね。
冒頭、壮大なオーケストラのBGMとともにさくらちゃんが不思議な夢を見るところから物語が始まりますが シーンはすぐに一転、陽だまりのようなパステルカラーを基調とした朝の背景と明るい音楽でさくらちゃんの独白に切り替わります。
ここの切り替えが非常に秀逸で、我々視聴者にありふれた日常の中からなにか大きな物語が始まるぞというワクワク感を与えてくれます。
ひとつ注釈しておきますと、カードキャプターさくらは劇場版もあわせて計6枚のサウンドトラックCDが発売されています。(TV版は4枚)
これは、この尺のアニメ作品としては異例に多い数です。 そのどれもがオーケストラ録音を多用しており、作曲家の根岸氏のバリエーションの豊かさに驚かされます。
それどころか版権の関係か、その中に収録されていない曲も結構あります。(フル尺で聴きたい…)
未だにTV番組なんかではよくCCさくらのBGMが使用されていますよ。
話を戻しましょう!
次いで登校のシーンでは満開に咲いたさくらの通学路、インラインスケートで滑るさくらちゃんの登校描いています。
CCさくらの放映がスタートしたのが1998年4月7日、まさに満開のさくらの季節です。(遠い目…)
ここから約2年間、物語中と現実の季節は完璧にリンクします。
夏には海やお祭りのお話を、12月にはクリスマス、年が明ければお正月といった具合です。(衣装で季節を追っても面白いですよ!)
サザエさんのような一話完結でならわかりますがこれをストーリーのある作品でやるのはなかなか大変な作業で、構成がかなり綿密である証拠でもあります。
こういう細かいこだわりが作品に深いリアリズムを生み出しているのです。
学校に着いてからも1話は少し描き方が違います。
他の話に比べ「グロー」をかなり強めにかけ、光に包まれるような雰囲気の教室で さくらちゃんが朗読するのは、児童文学作家あまんきみこ氏の「白いぼうし」の一節。
「まほうのみかんとおもうかな。なにしろ、チョウが化けたんだから。」
実際に小学校4年の学習教材として使用されているのももちろん、「まほう」という言葉をがさりげなく柔らかい文章に乗せてあり、これから始まる物語がバトル魔法作品ものというよりは「ファンタジー」でおとぎ話的魔法作品であるという方向性を示す隠喩でしょうか。 これほどCCさくらの世界を現すのにうってつけの文もないだろうと思います。
他アニメではなかなか見ることの出来ない極めて上品な演出です。
Bパート(正確にはAパートの引きから)になると前半での明るく爽やかな雰囲気が一変します。
自室の地下にある書庫から怪しい物音が聞こえて、家にはさくらちゃんひとり。
泥棒かと考えるさくらちゃんですが、この時泥棒にすら 「泥棒さん」とさん付けなんですよね笑。
これは別のエピソードですが、虫にもさん付けしたり、クロウカードもカードさんです。
他にも用事をご用と言ったり、地面に座るときにもハンカチを敷いて座ったりと随所に育ちの良さが現われています。
いよいよ物語が動き始める「クロウカード」との出会いです。
うすぼんやりとした地下の書庫の中、一冊だけぼうっと光るクロウカードブックに恐る恐る近づくさくらちゃん。 手に取ると封印が解かれ、カードが現われる…。
CCさくらは背景の色彩設計が素敵で、暗い部分でもよく見るとかなり彩度の高い鮮やかな色を入れているんですよね。だからでしょうか、地下室でも湿った印象は受けません。
さくらちゃん的には怖いシーンでしょうけれど、私たち視聴者はこれからどうなっていくのかドキドキワクワクのシーンですね。 むかし、夢中で読み耽ったミヒャエル・エンデの「果てしない物語」の冒頭にも通づる、普遍的で王道な物語の演出です!
ここからカードがバラバラに飛んで行ってしまうところまでのシーケンスはまさに最高のひと言です。
「ウィン…ウィン…ウィンディ…?」
まだローマ字を習い始めたばかりの様子が見て取れる拙いセリフで、カードの名前を詠むと魔方陣が現われ旋風が巻き起こるのですが 詠み終わらないうち足にカメラが切り替わると、なんと既に風が起こり始めているのです。
さくらちゃんが微力ながら魔力を持っていることを的確に表現しつつ、このセンスの良い描き方には脱帽です。
CCさくらには一貫して最小限のセリフで、物語を語るという一つの特徴があります。 特に物語後半は、ほとんどセリフなしで絵と演出のみで間を表現する場面も多くあります。
この「間」を上手に作れるアニメは稀有ですので、その辺りを気にしながら観てみるとより楽しめると思いますよ。
そして第1話で封印するクロウカードは「フライ」
フライは文字通り自由に空を飛べる魔法で、今後最も使用頻度の高いカードです。
これがまたシリーズ通しても一番と言っていいほどアクロバティックな捉え方をするんですよ。 さくらちゃんの運動神経と機転の良さとを、アクションとして1話でしっかり見せています。
1話はアニメ版キャラクターデザインの高橋久美子さんが作画監督として入っているだけあり キャラクターの表情は完璧と言ってもよく、どこを取っても見どころ満載です。
肝心の恋愛話は流石にまだ「さわり」ですけどね笑(小狼出てこないし)。
CCさくらは小学生らしい、観ているこっちが恥ずかしくなるような恋愛劇が一つの見どころでもありますから是非そこまで見てほしいです!
CCさくらに携わった制作の方は演出家にしろ、作画監督にしろ今でも第一線で活躍されている方が多いです。 当時はまだお世辞にも有名ではなかったけど、今ではすっかり大御所なんて方もいます。(某股間督とか笑
こうして考えてみるとCC さくらは ジュブナイルとしてかなりしっかりした骨子を持っている作品だという事が言えると思います。
元々、NHKはこのジャンル得意分野ですしね。そのNHKが(金額の意味でも)一番本気になった作品なのだから最高の作品になるのは当然といえば当然なのです。
っていうか
記事を推敲していて思ったんですけど、もう完全に発毛関係ないじゃんこれ。(でも好きだから語ってしまう)
私も、発毛ライフのブログでなんでこんなマニアックな記事をかいているのかよくわからなくなってきました…。
そもそも、ドライヤーが発売されて「あ、封印の杖のドライヤーが出たのか!!やっぱりカードキャプターさくら最高だな~!」位の記事にするつもりだったんですけど!!
これだからオタクはっていわれるんだよなぁ…
まあ、流石にそろそろラストにしたいと思いますけど、来週も良かったらお付き合いお願いしますね!