米大手製薬会社のキセラ・バイオファーマスーティカルズは22日、AGA(男性型脱毛症)の経口薬KYTH-105 =(セチピプラント/Setipiprant)の臨床試験実施申請資料(IND)を米国食品医薬品局(FDA)へ提出したと発表した。 新たな経口新薬による治療は、現在ニーズが充分満たされていないAGA治療薬市場に選択肢をもたらす可能性がある。
セチピプラントに髪を成長させる作用
男性に起こる生え際の後退、薄毛、部分的または完全な脱毛への進行を特徴とするAGA(男性型脱毛症)の症状を持つ男性被験者におけるセチピプラント(抗喘息剤)の効能と安全性を検証するため臨床試験を行う計画だ。
セチピプラントは、脱毛の主要要素の可能性があるプロスタグランジンD2(PGD2)受容体の経口剤で、膨大な安全性データベースに基づき特徴付けられた成分であるという。
以前には、アクテリオン製薬(Actelion Pharmaceuticals)が、先天的なアレルギー性炎治療薬に対する同成分の効果を9件もの臨床試験を行い検証している。 そこには、季節性アレルギー性鼻炎患者(フェーズ3)の試験及び喘息患者(フェーズ2)の研究が含まれており、その結果は、患者(1,000人以上)には問題が現れなかったという安心できる内容となっている。
男性型脱毛の初期の研究で、AGAの症例に当てはまる男性は脱毛した頭皮部分のPGD2値が上昇していたことが分かった。 臨床前の試験管内の人毛卵胞モデルにおいては、セチピプラントのようなPGD2阻害物質が成長期、すなわち毛周期サイクルの成長フェーズを延ばすことで、髪の成長を促進することがわかっている。
全米3500万人以上がAGAに悩んでいる実状
AGAは自己イメージに多大な影響を与え、AGAに悩む男性は鬱や自己評価の低下、多重人格、社交性の低下などの症状をふくむ心理社会的な合併症を煩う傾向にある。 アメリカでは3500万人以上の男性がこの症例に悩んでおり、安全且つ効果的な治療法の需要は依然として高い。
キセラ社のチーフメディカルオフィサーである医学博士フレデリック・ベッディングフィールド氏は当申請は、 「AGA治療薬であるKYTH-105(セチピプラント/Setipiprant)の開発の上で、重要な節目になるでしょう。KYTH-105は、AGA治療において独自の科学的アプローチを持った脱毛症治療薬です。」と述べた。
キセラ社はアクテリオン製薬株式会社とペンシルベニア大学との間で別々に締結した2つのライセンス契約から、KYTH-105 の全世界における独占的権利、およびPGD2受容体拮抗剤の脱毛治療への使用をカバーする特定の用途特許の使用権を得ている。
経口薬のAGA治療薬と言えば現在、ミノキシジルタブレットやフィナステリド・デュタステリドなどが挙げられるが、今後新たな経口薬が投入される事によって市場の活性化、拡大が進むことだろう。 ミノキシジルタブレットやフィナステリドは副作用も強いので、その観点からも要注目だ。
もし現在副作用なく経口にて育毛したいという事であれば、天然フィナステリドと呼ばれるノコギリヤシを含むサプリメントが主流である。
また2015年に入ってからは副作用なしで医薬品並みの効果が期待できると言われる成分(
キャピキシル
や
ピディオキシジル
)を含む外用薬も発売されているのでこちらにも注目していきたい。
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