『 トランス脂肪酸の禁止、米が決定 「安全と認められぬ」 』
光の雫をたっぷりと乗せた葉が心地よい風を運んでくる7時40分。
何とはなしに、半ば事務的につけたニュース番組のトピックスでこの文章を目にした僕は マーガリンを嫌というほどつけたモーニングブレッドに目を落としこうつぶやくのだった。
「君は本当にこのままでいいのかい?」
と、某小説家風のお遊びはここまでにしておくが、とにかくパンにマーガリンをつけて食べるのが大好きな私にとってはまさに由々しき問題である。
そもそもマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」が心筋梗塞などのリスクを高めるという事は昔から言われてきたことだが、あの悪食国家のアメリカが FDA(アメリカ食品医薬品局)を通して今回の禁止を決めたことについては正直、驚きを隠せない。
今回は食品添加物としてのトランス脂肪酸はもちろんだが、髪への影響や他脂肪酸との関連性について調べてみたので気になった方は目を通してほしい。
1. トランス脂肪酸ってなんのこと?
「あぶら」には常温で液体のあぶら(油)と固体のあぶら(脂)があり、これらを総称して「油脂」と呼んでいる。
これら油脂は脂肪酸とグリセリンという分子からできており、脂肪酸は炭素の二重結合がない飽和脂肪酸と炭素の二重結合がある不飽和脂肪酸に大別できる。
この不飽和脂肪酸を更に紐解いていくと、シス型とトランス型というものに分かれ、トランス型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸」と呼んでいるのだ。
トランス脂肪酸はほとんどが油脂の加工・精製中に出来るもので自然界にはあまり存在しないという。
代表的な例としてはショートニング等の食用油脂などが挙げられる。
2. 身体に悪いって本当?
先のニュースによれば心臓病や心筋梗塞のリスクを高めるとされ、アメリカでは「安全とは認められない」と結論づけられたそうだが、どこまで 信じていいものなのか。
農林水産省のホームページによればトランス脂肪酸については、具体的には、トランス脂肪酸をとる量が多いと、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増えて、 一方でHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)が減ることが報告されているとのこと。 日常的にトランス脂肪酸を多くとりすぎている場合には、少ない場合と比較して心臓病のリスクを高めることが示されている。
それ以外にも認知機能の低下や 骨の発達不全、 不妊症、母乳の質の低下などのリスクが示唆されている。
確かにどこを見ても良いことは書いていないので、割と本当に危険なんだろうと思われる。なんせアメリカですら禁止したのだから。
3. どんな食べ物にトランス脂肪酸が使われているの?
マーガリン・ファットスプレッド 食用調合油等 ラード・牛脂 ビスケット類 スナック菓子、米菓子 チョコレート ケーキ・ペストリー類 マヨネーズ 食パン・菓子パン 即席中華めん 油挙げ、がんもどき 牛肉・牛肉(内臓) 牛乳等 プレーンヨーグルト・乳酸菌飲料 練乳 クリーム類 アイスクリーム類 脱脂粉乳
食品安全委員会が含有量調査を行ったものだけでこれだけの種類がある。実際調査を行っていないものも含めれば この数倍はトランス脂肪酸が入った食品があるだろう。
特にマーガリン・お菓子や揚げ物の油にはかなりの量が含まれているとのことなので摂りすぎは禁物である。
4. 頭皮、髪の毛への影響は?
発毛ライフ的には肝心要、読者の皆様ももっとも気になっているであろう髪への影響。
心臓病や心筋梗塞なら毛髪には関係ないと思われるかもしれないが、実はそんなことはない。
毛髪や毛根は、体にたまっている老廃物や不必要な重金属類を体外に排出する大切な器官であるが、この老廃物に「トランス脂肪酸」が含まれ毛根に運ばれることにより毛髪に深刻な影響があるという。
また「トランス脂肪酸」を摂取することによって悪玉ホルモンを増加させ、AGAの最大の原因である 5αジヒドロテストロン(5α-DHT)を大量に作り出してしまうのだ。
5. その他「脂肪酸」との関係性は?
オメガ脂肪酸というものがある。
詳しくは「 AGA治療に近道なし!?医薬品よりもまずは原因究明を。 」を見て頂きたいが この脂肪酸は頭皮の炎症を抑えるのに一役買っている優れた成分なのだ。
同じ脂肪酸なのにいったいどこが違うのだろうか?
そもそもオメガ脂肪酸の中にもオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が存在し、オメガ6脂肪酸に関して言えば トランス脂肪酸と同じように摂り過ぎれば血液がドロドロになったりと体に悪影響を与えるものなのだ。
摂取すべきは「オメガ3脂肪酸」で、これには炎症を抑えたり、アトピーやアレルギー、肌質改善などの 効果が認められている。
同じ脂肪酸だが、オメガ3脂肪酸だけは他の脂肪酸とは全く違う働きをするのでしっかりと摂取するようにしたい。
オメガ3脂肪酸が含まれる食品にはしそ油、亜麻仁油やえごま油などの天然油また、青魚などの魚介類にも多く含まれている。確かに体によさそうなものばかりだ。
現代食生活において「トランス脂肪酸」は切り離せないものだと思われがちだが使用する油を見直したり、魚介類中心の和食系に切り替えたりと、実はやれることはかなりあるといえる。
現在、日本では食品事業者の自主規制の動きによりトランス脂肪酸の少ない食品なども販売されているので 一度その辺りも踏まえて食生活を見直してみてはいかがだろうか?