毛染め は年代や性別を問わず、お洒落染めや白髪染めなど幅広く日本人に浸透しております。 しかしその一方、消費者庁のデータバンクには、毎年200件もの毛染めによる事故被害が登録されてると言います。
毛染めによる皮膚障害の多くが接触皮膚炎で、特に酸化染毛剤がアレルギー性接触皮膚炎を起しやすいことがわかっています。
ここまで原因がはっきりしているにもかかわらず未だ対策がなされておらず、今回ようやく消費者庁が調査に乗り出しました。
4割の消費者が知らない
調査により、毛染めによってアレルギーが表れることを知らない人が4割もいるという事が判明しました。
さらにアレルギーは突然発症する可能性がありますが、今まで症状が現れなかった人たちの4割は「ずっと無症状のままだと思う」と回答しています。
今まで毛染めをした人の15%が異常を感じたことがあると答えており、異常を感じても自分は大丈夫だと思いそのまま続けてしまう人が多いようです。 このようにアレルギーになり得ることをある程度認識している場合でも、自分はアレルギーにならないだろうと思い行動する可能性が十分に考えられるのです。
また昨今は約半数の人が自宅で染髪しており、サロン等よりも頭皮の異常に気付きにくいことも原因に挙げられます。
毛染め による皮膚障害の事例
・消費者庁の事故情報データバンクに登録された染毛による皮膚障害事例の件数の推移
受付年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 |
皮膚障害 事例件数 |
154 (18) |
196 (44) |
238 (36) |
201 (29) |
219 (39) |
・これまで毛染めをして問題がなかったにもかかわらず症状が現れた事例
事例A(50歳代女性)
帰宅後、かゆみを感じたが特に何もせずにしばらく様子を見た。
かゆみが治まらなかったため皮膚科を受診して治療を受けたところ、かゆみが治まった。
その後、毛染めのために別の美容院に行ったところ、セルフテストでアレルギー反応が現れた。
事例B(20歳代女性)
美容院に相談して皮膚科を受診したところ、染毛剤による接触皮膚炎と診断され 今後、1年間は治療を続けるよう言われ、しばらくの間は2週間おきに通院することになった。
事例C(60歳代男性)
3回目に自宅で毛染めしたとき、症状が現れた。病院には4回通院した。染毛剤のメーカーに相談したところ セルフテストをしたか聞かれたので、説明書に書かれていたかもしれないが字が小さくて判読できなかったと答えた。
・異常を感じても毛染めを続けて症状が悪化した事例
事例D(50歳代女性)
今回毛染めをしたら、顔面が赤く腫れ、浸出液が滴る状態になり、初めて医療機関を受診した。
これまで、製品の外箱や使用説明書に注意事項が詳しく記載されていることには気付かなかった。
事例E(60歳代女性)
異常を感じるのは施術の翌日以降で、症状が治まるまでは毛染めは控え、美容院に相談して薬局で購入した薬を塗ると症状は治まるので、これ以上ひどくなるとは思わずに毛染めを続けていた。
今回、ひどい症状が現れたため医療機関を受診して皮膚テストを受けたところ、染毛剤によるアレルギー性接触皮膚炎と診断された。今後はヘアマニキュアを使用するよう指導を受けた。その後、症状は治まっている。
事例F(50歳代女性)
ヘアカラーリング剤の種類や成分、染毛のリスク等については、これまで美容院で説明を受けたことはないし、自分でヘアカラーリング剤を 購入する場合も、使用説明書は使用方法以外読んだことがない。また、美容院でも自宅でも、セルフテストをしたことはない。 医療機関を受診する前から、カラーリング剤によってはアレルギーになる可能性があると知っていたが 別の製品に変えれば症状は改善するものだと思っていた。
また、顔面に出た症状が、毛染めによるものだという認識はなかった。 ヘアケア製品によるアレルギーは頭皮や髪にだけ異常が現れると思っていた。その後も症状は軽くなっているが、通院中。
例G(50歳代女性)
今回毛染めをした当日に頭皮がかゆくなり、翌日に湿疹が出たので 医療機関を受診した。 医療機関を受診する前から、毛染めでアレルギーになる可能性があることは知っていたが、まさか自分がなるとは思わなかった。
・長年のかぶれが実はヘアカラーリング剤が原因だった事例
事例H(50歳代女性)
総合病院の医師からは、酸化染毛剤での毛染めをやめて染毛料に変更するように言われた。
・セルフテストでアレルギー反応が現れなかったが、施術したら症状が現れた事例
事例I(40歳代女性)
今までは美容院で毛染めの施術を受けていたが、自宅で毛染めしたのは初めてだった。
事例J(50歳代女性)
ある日、その美容院でその薬剤を含まない毛染め剤を勧められ、セルフテストで異常がないことを確認してから毛染めを行っ たところ、翌日、頭皮に小さな水疱ができた。痛みやかゆみは感じなかった。
医療機関を受診したところ、 薬剤に よるかぶれと診断され、薬を処方された。
対策法
毛染めによる皮膚障害の発症や重篤化を防止するためには、消費者に対し酸化染毛剤によるアレルギーのリスクに関する情報提供を行い正しい理解を深めることが大切で、事前にセルフテストを実施したり、毛染めで異常を感じた場合に施術を中止したりする等のリスクを回避するための行動を促すことが重要であると消費者庁は話しています。
確かにセルフテストや酸化染毛剤に対しての知識をつけることは大切かもしれません。 でも、実際問題そこまで細かいところを判断出来ませんよね。
アレルギー・皮膚障害はいつ何時どういうタイミングで起こるのか大変予想しにくいものです。またそれが本当に染毛剤によるものなのかどうかも判断が難しい部分です。
ひとつ私たちが出来ることと言えば、上記のような症例が出た場合は即座に使用を中止して、医者や理美容師にまず相談する事が重要ではないでしょうか。理美容でなら簡単にセルフチェックを受けることも可能です。
今は自宅でも簡単に 毛染め できる一方で実は意外な落とし穴が潜んでいたんですね。
髪を染める事はお手軽にイメチェンできるのでとても楽しいですが、大切な自分の頭皮の事もしっかりと考えてあげたいものです。